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2026.10.15

お知らせニュース

リチウムイオン電池搭載製品の事故から考える、製造・輸入事業者の安全管理

スマートフォンやモバイルバッテリー、ポータブル電源、コードレス家電など、リチウムイオン電池を搭載した製品は、私たちの生活やビジネスに広く普及しています。一方で、電池の異常発熱や発火などの製品事故は、製品を提供する事業者にとって継続的に取り組むべき重要な課題です。

製品評価技術基盤機構(NITE)は2026年7月15日、リチウムイオン電池搭載製品の事故を防ぐための注意喚起を公表しました。同機構が受け付けた事故情報では、2021年から2025年までの5年間に、リチウムイオン電池搭載製品に関する事故が2,140件発生しています。製品別ではモバイルバッテリーの事故が最も多く、事故件数は春から夏にかけて増加し、8月にピークを迎える傾向が示されています。

この数字は、電池搭載製品を取り扱う製造・輸入事業者にとって、設計段階から流通後までの安全管理を再確認する必要性を示しています。

■ 公表された事故情報から見えるリスク

NITEが紹介した事故事例には、次のようなものがあります。

事例1: 高温の自動車内にモバイルバッテリーを放置したことによる火災です。2024年に滋賀県で発生した事例では、モバイルバッテリーと周辺が焼損しました。NITEは、内蔵セルの内圧上昇による膨張・破裂と、噴出した可燃性ガスへの引火が考えられるとしています。

事例2: モバイルバッテリーをかばんに入れて自転車で走行中に発生した火災です。2024年に大阪府で発生した事例では、製品の外装ケースや制御基板の一部に割れが確認され、電池セルに外力が加わったことによる異常発熱の可能性が考えられました。

事例3: モバイルバッテリーの充電中に発生した火災です。2025年の千葉県の事例では、内蔵セルの異常発熱による出火が考えられています。なお、このモバイルバッテリーについては、事故の発生した前年に、輸入事業者がリコールの情報をHPに掲載していましたが、購入者は確認できていませんでした。

これらの事例は、事故原因が一つではないことを示しています。高温環境、外部からの衝撃、製品自体の不具合、リコール情報の確認不足など、複数の要因を想定した安全対策が必要です。

■ 製造・輸入事業者が確認したい5つの項目

1.電池セルの選定と仕様管理

電池セルのメーカー、型式、定格、仕様書、試験資料などを確認し、採用部品が製品の用途や設計条件に適しているかを検討します。調達先の変更や同等品への置き換えを行う場合も、単に寸法や容量が一致するだけで判断しないことが重要です。

2.保護回路と製品設計の確認

過充電、過放電、過電流、短絡、温度上昇など、製品に応じて想定される異常状態について、保護機能や設計上の安全対策を確認します。必要な評価内容は、電池パックの構成、充電方式、製品の使用条件などによって異なります。

3.高温・衝撃などの使用条件の検討

輸送、保管、日常使用、落下などを含め、製品がどのような環境で使用されるかを整理します。取扱説明書や警告表示だけに頼るのではなく、合理的に予想される使用条件を考慮した設計・評価を行うことが大切です。

4.リコール情報の監視

経済産業省やNITE、消費者庁などの公表情報を定期的に確認し、自社製品だけでなく、採用している電池セルや関連部品、同種製品の事故情報も把握します。自社製品がリコール対象となった場合に備え、対象ロットの特定、出荷先の把握、顧客への連絡、回収・交換などの対応手順を整備しておきましょう。

5.市場投入後の情報収集

顧客からの発熱、膨張、異臭、充電不良などの問い合わせを記録し、類似事象の有無を分析します。重大な事故や異常が確認された場合には、社内で情報を共有し、原因調査や必要な報告・対策について速やかに検討する体制が重要です。

■ 電安法に基づく対応も忘れずに

リチウムイオン蓄電池を使用する製品のうち、電安法の規制対象となるものについては、対象区分に応じた技術基準への適合、必要な事業届出、自主検査、表示などの対応が必要です。

例えば、一般的なモバイルバッテリーに使用されるリチウムイオン蓄電池は、法令上の条件に該当する場合、電安法の対象となります。ただし、電池を内蔵する製品がすべて同じ扱いになるわけではありません。製品の構造、用途、定格、法令上の除外規定などを確認して判断する必要があります。

また、PSEマークの表示は重要ですが、それだけであらゆる使用条件に対する安全性が保証されるわけではありません。法令への適合と、製品のリスク評価・品質管理は、併せて取り組むべき事項です。

■ まとめ

NITEが公表した事故情報は、リチウムイオン電池搭載製品に対する安全管理の重要性を改めて示しています。

製造・輸入事業者は、部品選定、設計評価、製造品質、表示、リコール監視、市場からの情報収集までを一連のプロセスとして管理することが大切です。事故情報を自社製品の安全対策に生かし、製品の企画・調達段階からリスクを低減していきましょう。

【参考資料】
・NITE「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を」(2026年7月15日)
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2026fy/prs260715.html

・経済産業省「リチウムイオン蓄電池搭載製品の事故に気をつけましょう!」
https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/lithium_ion_battery.html

※事故件数はNITEに通知された製品事故情報に基づくものであり、すべての事故を網羅した統計ではありません。個別製品の法令適用は、最新の法令・通達および製品仕様に基づいて確認してください。

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