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2025.09.09

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多発しているモバイルバッテリーの火災事故

PSEマークがあるのになぜ??技術基準適合確認??

PSEマーク取得に必要な技術基準とは?J62133-2が求める「熱」に対する安全性

モバイルバッテリーやノートPCなど、私たちの生活に欠かせないポータブル機器。その心臓部とも言える「二次電池(充電式電池)」には、見えないところで厳しい安全基準が課されています。日本国内で販売するには、PSEマークの取得が必要不可欠。その取得には、**JIS C62133-2:2020(J62133-2:2021)**という技術基準への適合が求められます。

この記事では、特に「熱」に関する安全性評価に焦点を当て、技術基準の内容と実際に起きた事故例を交えながら、PSEマークの本質に迫ります。

📘技術基準適合確認とは?

PSEマークは「Product Safety Electrical Appliance & Material」の略で、電気用品安全法に基づき、製品が技術基準に適合していることを示すマークです。モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池を搭載した製品は、J62133-2という国際規格に基づいた試験をクリアする必要があります。

この規格は、IEC(国際電気標準会議)のIEC 62133-2をベースにしており、ポータブル機器用の二次電池の安全性を評価するためのものです。特に「熱」に関する評価は、発火や爆発といった重大事故を防ぐために重要なポイントとなります。

J62133-2では、電池の耐熱性に関して以下のような厳しい試験が求められます。

※本記事は簡潔にわかり易く記載しています。詳細は規格を参照ください。

これらの試験を通過することで、製品が日常的な温度変化や過酷な環境でも安全に使用できることが保証されます。特にモバイルバッテリーは、夏場の車内や冬の屋外など、極端な温度環境にさらされることが多いため、耐熱性の評価は欠かせません。

⚠それでも事故が起きる理由

技術基準を満たしていても、残念ながら事故はゼロではありません。以下のような要因が背景にあります。

  • 量産時の品質管理の不備
    試験を通過した試作品と、実際に量産された製品の品質が一致しないケースがあります。特に海外の工場で製造された製品では、部品の変更や工程の簡略化によって安全性が損なわれることがあります。
  • PSEマークの偽装
    一部の海外製品では、技術基準を満たしていないにもかかわらず、PSEマークを不正に貼付して販売される例があります。これは法令違反であり、消費者にとって非常に危険です。
  • 長期使用による劣化
    技術基準は「試験時の状態」での評価であり、長期使用による内部劣化や外的要因までは保証されません。経年劣化によって、電池内部の化学反応が不安定になり、発熱・発火のリスクが高まることがあります。

実際に起きた事故事例
事例①:通勤中にバッグ内で発火
東京都内で通勤中の男性が、バッグに入れていたモバイルバッテリーから突然煙が出て発火。幸いにも大事には至らなかったが、バッグの中身は焼失。調査の結果、バッテリーはPSEマーク付きだったが、海外製で品質管理が不十分だったことが判明。
事例②:車内放置による爆発事故
夏場の炎天下、車内に放置されたモバイルバッテリーが高温により膨張し、破裂。車内の一部が焦げる被害が発生。製品は技術基準に適合していたが、使用環境が想定外だったことが原因とされた。

まとめ PSEマークは「安心」の第一歩

PSEマークは、製品が技術基準に適合していることを示す「安心の証」です。しかし、それだけで安全が保証されるわけではありません。製造品質、流通管理、使用環境など、複数の要素が絡み合って初めて「本当の安全」が実現します。

消費者としては、以下のポイントを意識することが重要です。

  • 信頼できるメーカー・販売元から購入する
  • 製品の使用環境に注意する(高温・湿度など)
  • 定期的な点検や買い替えを検討する

PSEマークの意味を正しく理解し、賢い選択をすることで、事故を未然に防ぐことができます。安全は「マーク」ではなく、「安心・安全意識」が大切です。

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